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ログハウスセレクト -2015年度版- うつくしまロハスセンター様

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命を守る木の家は間伐材の手作りログハウス

化学物質に囲まれる暮らしに、健康を害したとき、
受け皿はどこにも見出せなかった。
逃げ込むことができたのは、国産の間伐材と、それを使った木の家だった。

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「うつくしまロハスセンター」と3棟のログハウス

南会津町へは、東京からだと、東武線と会津鉄道の相互乗り入れで、東武特急を使えば3時間ほどで行くことができる。
会津鉄道管内に入ると、車窓からは、渓谷に沿って、かつて、地域の中心産業として栄えた林業の名残で、
間伐が待たれる杉林をそこかしこに見かける。
会津高原尾瀬口駅から、車で5分ほどのところ、国道から脇にそれた山林に「うつくしまロハスセンター」がある。
ここは、環境と共生するコミュニティのあり方を実証研究する、南会津町の事業の拠点として創られた場所だ。
この場所に建てられた、親和木材工業さんの3棟のログハウス。その誕生には、特別なストーリーがあった。

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化学物質過敏症を癒す家

「冬にはマイナス20度になりますからね。サッシは二重になっています」
池谷純仁さんは、センターの運営を行う環境NPOの代表を務める。
「ログハウスについては、久美ちゃんに聞いた方がいいかも知れませんね」
久美ちゃんと呼ばれる女性・川村久美子さんは、この建物を利用する、化学物質過敏症の患者さん。
池谷さんと共同で、プランを造り、建築した。
実は、ここからほど近くには、日本初・町営の転地療養施設「あらかい健康キャンプ村」がある。
化学物質過敏症や電磁波過敏症の人が一時的に住み、体を癒すところだ。
2つの施設は、池谷さんが一体的に運営している。
川村さんは、実は、キャンプ村の利用者だった。入村したのは去年の6月。冬が近づいたころ問題は起こった。
一時的な利用を前提とするキャンプ村は冬を越す能力がない。だが、川村さんは症状が重く長期療養が必要。
化学物質を当たり前のように使っている一般家屋に戻ると、また、ぶり返してしまう。

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親和木材の全面協力

さあ、どうしよう。冬を越せる療養棟を造りたいが、それにはお金がかかるし、震災の復興で大工さんもいない。
「彼女は山から出られない。ほったて小屋でもいいから自分たちで建てよう」
何かないか。インターネットで探すうち、キットハウスのメーカーに行き当たる。
「親和木材工業株式会社」
「とにかく行ってみよう」
車に飛び込んで、日帰りで岐阜に向かったのが10月のこと。門戸を叩くと、たまたま社長がいた。
いきさつを説明すると、快く応じてくれた。
「全面的に協力したい」
それもそのはず。親和木材は、国産の間伐材を使った木の家を造り続けている。
それは、林業の衰退とともに荒れてしまった日本の森林を再生したい思い、そして、健康的な住宅を造りたい思いから。
化学物質に苦しむ人たちに安息地を提供したい池谷さんと思いは同じだ。
川村さんを囲んで、プランは1週間で練り上げた。雪が降る前に、建て切らないとならない。
まず、シンプルに平屋とする。そして、高級な建物は必要ないが、生活周りは充実させた。
食物は体を治す。従って、キッチンはしっかりと確保した。体はきれいにしておかなければならない。
十分な大きさのある浴室を用意した。そして、休養をとる寝室には、最大限気を配る。
まず、空気をきれいに保つため、他のブロックと区切り、独立させた。そして、壁は珪藻土とする。
化学物質過敏症は重症化すると、木肌が持つ殺虫成分も、体が化学物質と勘違いしてしまうことがある。それを防ぐためだ。
そして、玄関をサンルームで囲った。この地域は雪が深い。冬場でも、洗濯ができるようにとの配慮だ。

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これをプロトタイプとして、縮小版の小屋も作ることとした。同じように苦しむ人たちのシェルターとしてだ。
建築にあたったのは10名あまり。池谷さん、過敏症の仲間4人、地元の大工さん2人、
そして、親和木材から社長も含め4人が前泊で乗り込んだ。
2日がかりで3棟、命を守る木の家は、初冬の南会津に建ちあがった。
入居は12月25日─。
川村さんにとって、特別のクリスマスになった。

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間伐材を使って苦しんでいる人に安全な環境を

川村さんは、キャンプ村に避難してくる前は、症状が著しく悪化していて、一般住宅に住めず、
2か月間、車での生活を余儀なくされたそう。
「受け皿が無いんですよ」
池谷さんは言う。
そして、今、すっかり健康を取り戻し、取材班を迎えてくださったのは、はつらつとした姿。見違えるほどだ。
化学物質をシャットアウトして過ごし、健康を取り戻した後は、一般住宅に戻ることもできるという。
「苦しんでいる人たちに安全な環境を提供することを誰かがやらなきゃなりません。
間伐材を使えば、木をふんだんに使って、でも、庶民に手の届く価格で造ることができます」
朽ちさせるよりも、家になれば、木の命が循環する。国産の木材を使えば、地域おこしにもなる。
「里山おこしは大事です。これは、森林の問題、日本の木の問題、地球の問題です。親和木材工業さんに共感します」
ログハウスの真価を見た思いだ。

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オーナーさんからの“一言”

「過敏症にもやさしい家」

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木の家はやっぱりいいです。具合が悪いにも関わらず、普通の生活が営めました。
過敏症になると、いろんな臭いが気になりますが、木がカバーしてくれるようです。
木の匂いは気持ちを落ち着かせてくれます。

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